こんにちは!
みのり農場の麻生真司です。
シルバーウィークが始まりましたね☆
本日は唐津も秋晴れで爽やかなお天気です。
「たまご色のケーキ屋さんは」本日から9月23日まで
無休で営業致します。どうぞよろしくお願い致します。
さて、今日のお写真は「アップルタルト」。
これは見た目は地味ですが、主任の僕のオリジナルの
スペシャリテ(自信作)です。
元々は、冬季の定番商品のりんごのタルトやタルトタタン
をなど試作していたのですが、よく試食してもらっている
20年以上お付き合いのあるWさんに試作品をもって
行きました。
するとWさんは試作品を食べるまでもなく、
「私は火を通したりんごが昔からどうも苦手なの。」と
ポツリと言って食べてくれませんでした・・・。
「私はりんごはあのサクサクした生の食感が
好きだわ。」と一言添えてくれました。
早速、帰って試作を再開しました。
通常のりんごタルトと言えば折りパイ生地に
たーっぷりのアーモンドクリームとフランベした
(バターとグラニュー糖でソテーしたもの)りんごを
詰め込んでオーブンでしっかりと焼き込んだものが
主流です。タルトタタンも若干これに近い製法です。
これらと同じ作り方ではフレッシュのりんごの爽やかさを
活かす事はできません。
試作を繰り返しようやく形になってきました。
まず、タルト生地はブリぜ生地と呼ばれる甘味を
つけない練りパイ生地。これは通常の折りパイ生地の
層が本のように均一に1枚1枚重なっておらず、まるで
枯葉が積もったように細かい層が密に重なり合っている
ものです。
なので食感も折りパイのパリパリしたものではなく、
どちらかというとザクザクホロホロとした儚いものです。
まずはこのブリぜ生地のみをこんがりとほど良い茶色に
焼き上げます。
粗熱を取り、アーモンドクリームを薄く薄く底面に
絞り、再びオーブンに入れて乾燥焼きします。
こうすることで焼きあがったアーモンドクリームは
香り高くネチッっとした食感に、ブリぜ生地は
ザクッ!ホロッっとした歯触りに。
クリームはシブーストクリーム。
これは昔、シブーストという菓子職人が作った
フランベしたりんごとムースでできた「シブースト」
というお菓子のクリームの事です。
通常のレシピのクリームはイタリアンメレンゲ
(メレンゲに熱々のシロップを混ぜて殺菌したもの)
とカスタードクリーム、生クリームで作りますが、
僕は衛生上、念のためにスイスメレンゲ(メレンゲを湯煎
火を通したもの)で作ります。
メレンゲに火を通すという事は、メレンゲが分離しやすい
砂糖を多くしなければなりません。しかし砂糖はギリギリ
それでもまだ甘いので、ムースに仕立てる生クリームは砂
入れずに立てます。こうすることで通常よりもかなり甘さ
控えた優しい味のシブストクリームが完成です。
主役のりんごはジョナゴールド。
硬すぎないサクサクした子気味良い食感と
爽やかな香りが持ち味です♪
これを小さいさいの目状に切ってしばらく
すだちの果汁を加えたシロップに漬けておきます。
こうすることで変色を防ぎ、爽やかな香りを
付けるのです。
シロップから上げたりんごをすだちのジュレで
和えて、ムースの上に広げます。
普通は薄くスライスして放射線状に並べた方が
綺麗だとは思うのですが、このブリぜ生地のザクホロッと
した食感とムースと絡みながら、同じ食感で口の中で
混ざってほしいのでこの切り方にしています。
見た目より完全に味を重視しています。
仕上げにアップルミントを1枚。
このミントを噛んだ瞬間、より一層りんごの
香りが広がります。
乾燥焼きしたアーモンドクリームのネッチリとした食感
がムースとともに時間差で口の中で混ざって、味わいを
複雑にします。
もうひとつのスペシャリテであるチーズタルトには
アーモンドクリームを倍量絞り、上にクリームを流して
焼くので、乾燥せずにトロリと濃厚な味わいです。
同じクリームでもほんの少しの火の通し方で
味わいや食感が全く変わってきます。
この変化を真剣に考えて一つ一つのお菓子の完成度
を上げていくのが、たまご色のケーキ達です。
しっかりと粉の旨みを引き出すように焼いたブリぜ生地、
水分を飛ばすことで新たな美味しさが生まれたアーモンド
地味な中に本質があるという意味で、このケーキは
間違いなく、僕のスペシャリテです。
是非、1度ご賞味いただけたら幸いです。
追伸
上記のWさんはとても喜んでくださり、
今でも買いに来て下さってます。
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